季節 陶器と京料理
季節の移ろいを目でも楽しめる京料理。その美しさを際立たせるのが陶器の器です。陶器というのは焼き物の一つで、比較的低い温度で焼かれたものを指します。高温で焼かれた磁器と大別されます。素材の粒子も、磁器に比べると粗い印象です。食器としての陶器の特徴は、吸水性が高いことです。表面に目には見えない細かな隙間があるため、そのまま使用すると料理の油分や汁気を吸ってしまいます。いったん入ってしまうと、なかなか取れません。そのため、初めて使用するときは使う前に米のとぎ汁で煮沸することをお勧めします。これは目止めといって、昔から行われてきました。
時間があれば、10分程度煮沸して冷めるまで放置するとよいのですが(煮沸は、ことこ静かに煮る程度。火が強いと鍋にぶつかり傷がつきます)時間がなければ、とぎ汁、もしくはぬるま湯か水に30分漬けておくだけでも違います。毎回使用する前にぬるま湯にくぐらせると、なおよいでしょう。長く使っているうちに、細かいひびに色が着いてきますがそれも陶器の特徴の一つで、味わい深いものになります。陶器は手触りがちょっとごつごつした感じがあり厚手でぬくもりを感じられます。
盛り付ける素材の色に合わせて器を選ぶの楽しいもの。器に鮮やかな色が着いていなくても色彩豊かな京野菜を盛り付けることでその料理を引き立てることができます。また、紅葉をあしらうなど使い手のセンスも披露できますね。日本の文化は余白を大切にしますが、京料理も同じです。材料の切り方や取り合わせで、目でも楽しめますから器の大きさと料理の量、盛り付け方で季節を味わいたいですね。