色彩 陶器と京料理
京料理は、味よし、目によし、口によしと日本の代表料理です。
まず、京料理には歴史があります。平安時代全盛期だった公家を中心とした雅な「大饗料理」、秀吉以降に武士を中心とした「本膳料理」、今でも宿坊で味わえる寺院を中心とした「精進料理」、茶道とともに発達したシンプルな「懐石料理」が時代と共に発展していき、そして混ざり合った結果が今のスタイルに至っています。ここで注目すべきは、使われる陶器の多彩さです。色彩がとても美しくお料理が陶器に負けてしまうのではないかと心配してしまうほどの引き寄せられます。京料理では、器は料理の着物という思想があります。
美しい日本の春夏秋冬の移りかわりを、メインの食材だけではなく、あしらいの食材にも気配りする繊細さがあります。それに伴った、季節感あふれる器で四季を感じさせてくれます。その選び方は四季折々の季節、五行の色彩、桃の節句、端午の節句等に代表される五節句、四季の歳時などが参考にされています。
食材と陶器の絶妙なコラボレーションは、職人のセンスと感性で選び抜かれています。職人は常に味と美を求める努力を止めたことはありません。ストイックなまでに、味、色彩、香り、器を探求し京料理は今も進化し続けています。